大田区でも毎年多くのお祭りが開催されますが、「お神輿」が出るお祭りはひときわ華やかで、活気がありますよね。今回はそんなお祭りの華、お神輿が出るお祭りにスポットをあててみたいと思います。
お神輿と聞いてご存じでない方はいらっしゃらないと思いますが、お神輿や担ぎ方にも様々な種類が存在し、それぞれの地域や神社によって異なっています。「大田区のお祭りに参加したい!お神輿を担いでみたい!」という方にもお力になれるように、まずは大田区の「お神輿」の基本的なことからご紹介してみたいと思います。
(※本記事は大田区の祭りの会に参加される方にインタビュー形式で取材させて頂いたものを基に作成しております。一部例外や不備等ある可能性がございます。予めご容赦くださいますようお願い申し上げます)
お神輿を管理しているのはどこ?
毎年楽しいお祭りや勇壮なお神輿が見られるのはそれをしっかり管理運営してくださっているみなさまのお力があってのものです。
しかし、そのお祭りやお神輿を管理運営されているのはどういった方々なのか、詳しくご存じの方は少ないのではないでしょうか。
もっとお祭りを深く楽しんだり、お祭りに参加してお神輿を担ぐには、運営されている方々のことも知ることが必要です。そこで、まずはお祭りやお神輿を管理、運営、窓口となっている団体みなさまについてご紹介したいと思います。
大田区のお祭りやお神輿を管理運営している団体は大きく分けて以下の4つに分かれます。(※地域によって例外があります)
神社
大田区内には100を超える神社が存在しています。お神輿を神社で所有しているところがあり、このお神輿のことを本社神輿と言います。お神輿が人々の手によって町を巡ることを渡御(とぎょ)と言いますが、渡御に際して神社は神様を輿に遷す「御霊入れ(みたまいれ)」という大切な儀式を行います。渡御により神社を祀る町会(氏子町会)はお神輿に御座す(おわす)神様に、日ごろの守護の感謝を奉じます。
神社がお神輿の管理を行う場合もありますが、お神輿の渡御、お祭りの運営に睦会や町会の協力と連携はかかせません。
睦会(むつみ会)
お神輿が町会を巡る渡御の際の実質的な運行を執り行う団体で、お神輿の担ぎから、渡御の安全運行の指示、お神輿の担ぎ手、祭事運営の任を受けるとても大事な役になります。それぞれの神社の本社神輿の渡御を行いますが、それぞれの睦会でお神輿を所有するところもあり、お神輿自体の管理は睦会によってさまざまです。また、睦会は地元の神社のお神輿だけでなく、他の地域へ出向くこともあり、これもそれぞれの睦会の会則によって異なります。また、渡御の重役を果たす睦会は祭事参加への大事な窓口ともなっていて、睦会への参加は町会の掲示板などに参加を募るお知らせがある場合があります。睦会への参加をお考えの方はそちらで確認するか、スティッキーズでもご紹介してまいりますのでぜひご参考にして頂ければと思います。
町会(氏子町会)
神社が存する地域において共同で氏神様を祀る氏子の町会は祭事の協力者として渡御のおもてなしやサポートなど、たいへん重要な存在になります。神社への信仰により祭事も行えることから、お神輿の運行にも大きな役割を持つ町会ですが、個別に神輿を所有するところもあり、実際にお神輿を管理運営することもあります。それぞれの会則がありますが、自分が住んでいる町会のことなので、近所の方や町会長さんに聞くと、会について教えていただけると思います。とても身近で親しみやすい団体と言えます。
個人(個人で所有するお神輿)
神社、睦会、町会に限らず、個人でお神輿を所有し管理運営される方もいらっしゃいます。担ぎ手を個人で集め神社から御霊入れを受け渡御することもあります。なかには御霊入れせずお神輿を担ぎ、街を巡ることもあったりと、お神輿を担ぎ、コミュニケーションを大事にする熱いハートの団体です。個人で数千万円もするお神輿を寄付したり、運営も個人で行ったりと情熱の高さには感服です。
個人の方の団体なので窓口については現段階ではご紹介できませんが、ご協力いただける団体の方がいらっしゃれば、随時こちらでご紹介させていただきたいと思います。
大田区でのお神輿の担ぎ方って?
大田区にも多くのお祭りがあり、お神輿もたくさんあります。
見た目には神殿をかたどった輿が多く見られますが、お神輿の担ぎ方に目を向けると地域や神社などによっていろいろと異なっています。
それぞれの担ぎ方によって進行や動きに特色があり、大田区では大きく分けて「江戸前神輿」「城南神輿」「よこた神輿」の3つの形態の異なるお神輿があり、これは文化、風習、お神輿が通る道幅などの関係から生まれたといわれています。
3つの形態をご説明する前に、まずは基本のお神輿の形と名称を簡単にご説明いたします。
神様がお乗りになるところを輿と言います。輿には神殿型のものが多く見られ、これ以外にも神木や提灯、地域の風土文化に由来する象徴的な形状の物などがあり、さまざまな輿があります。その輿の下を「通し棒」「芯棒」と呼ばれる木の棒が左右2本入り、これが輿を支えます。また、人々が担ぐ棒のことを担ぎ棒と言い、その配置や形で呼び名が変わることがあります。
上記がお神輿の形となりますが、これに担ぎ棒が変化して以下の3つのお神輿となります。
江戸前神輿(江戸前担ぎ)
浅草などで見られる基本的な組み方の神輿です。神輿を通す2本の通し棒、その左右に並行して並ぶ外棒で組まれていて担ぎ手は皆、進行方向に向いて(前を向いて)担ぎます。また、お神輿の前の通し棒2本は担いでいて一番目立つ場所から通称“花棒”と言われています。
城南神輿(城南担ぎ)
通し棒に前後3本づつ「とんぼ」が入ります。とんぼの一番前と後ろを「前棒」「後棒」と言い、内側のとんぼを「あんこ」と言います。担ぎ方は進行方向に対して横向きで(カニ歩き)横棒に肩を入れて担ぎます。また大拍子(太鼓)が付いていて笛を鳴らし太鼓を叩きながら担ぎます。この神輿は通称“ちょいちょい”と呼ばれています。
よこた神輿(よこた担ぎ)
通し棒に前後2本づつ「とんぼ」が入ります。とんぼの担ぎ手は輿の方に向かって担ぎ、よこたの合図とともにシーソーのように上下に大きく揺らします。通し棒の担ぎ手にとても負担がかかるので、とんぼの担ぎ手はぶら下がるのではなく振り上げて、反対側のとんぼの担ぎ手を下ろしてあげるのがポイントになります。羽田などで見られる、よこた神輿は激しい担ぎが有名で毎年多くの観光客が訪れます。
この他に相州神輿(どっこい)というお神輿があり、こちらは通し棒のみで横棒がありません。まれに一部のお祭りでも見られることもありますが、一般的に大田区内では「江戸前神輿」「城南神輿」「よこた神輿」の3種の神輿を楽しむ事が出来ます。
これだけの種類の神輿を一つの地域で楽しめるのは全国でも少ないそうで、まさに大田区はお神輿の聖地といっても過言ではないようです。
今回は大田区のお神輿の基本をご紹介させて頂きました。参考にしていただいて、今まで見るだけだったお祭りに、担ぎ手として参加して気持ちの良い汗をかいてみてはいかがでしょうか。お祭りを通して悠久の歴史と文化を体感し、街の方との笑顔あふれるふれあいが生まれることでしょう。
次回は大田区のお神輿のあるお祭り第2弾「お神輿のあるお祭りはどこでいつ行われるの?編」をお送りいたします。ご期待ください!